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患者の気持ち

皮膚外科を受診される方へ

皮膚外科は、皮膚科の知識が基本となる疾患に対する手術治療のことを言います。
そのため、皮膚科の知識全般に十分に習熟した上で正確な手術手技を身に付ける必要があり、包括的な皮膚科治療学とも言えるのではないかと思います。

皮膚腫瘍などは、待っていてもなかなか消えるものではなく、長い年月をかけて大きくなるだけです。小さいうちに手術すれば、麻酔も少量で傷跡も小さくて済みます。皮膚腫瘍は悪性化(癌になる)の可能性もありますので、お早めにご相談頂くことをお勧め致します。

当院では、細い糸、繊細な手術器具を用い細心の注意を払い、安全・確実に、素早く・美しく、手術跡を最小限することを考えた手術を行います。
患者様の身体はもちろん、お気持ちの上でも低侵襲(負担の少ないこと)な治療法をご提案して参ります。

皮膚外科の主な対象疾患

ほくろ(黒子、色素性母斑)

皮膚科を受診される腫瘍では最も多いと思われますが、厳密には腫瘍ではなく一種の組織の奇形です。
胎生期に神経にも色を作る細胞にもなりきれなかった細胞が母斑になると言われており、母斑は良性ですので問題ありませんが、ごくわずかに悪性の母斑があり、悪性黒色腫と呼ばれます。 母斑の治療ではまずこの悪性黒色腫を見逃さないことから始め、ダーモスコピーという検査器具で、約90%は母斑と悪性黒色腫を診断することができます。

しかし、実際には切除してみなければ良性と断言できないことも多く、その際は手術をお勧めしております。
また、生まれながらに存在する母斑はまれに悪性黒色腫に変化することがあるため、足の裏など悪性黒色腫の生じやすい部位では手術をお勧めすることがあります。

粉瘤(アテローム)

皮膚の下にできる腫瘍の中で一番多いものと思われます。
皮膚は垢を作る組織ですから、粉瘤の中には垢がたまります。これが粉のように見えるため、「粉のこぶ」と書いて粉瘤と呼ばれます。しばしばくさい臭いを伴いますし、時には赤く腫れて痛みを伴います。化膿した時には切開をして膿を出して 感染が収まるまで待たなければいけませんが、感染がないうちに切除する方が傷跡も小さく、目立たなく治すことが可能となります。

脂漏性角化症

脂漏性角化症(老人性イボとも言います)は、早ければ30歳代から、主には40歳以降に発生し、加齢とともに増える皮膚の良性腫瘍です。
紫外線により皮膚の細胞が変化してできる良性の腫瘍で、皮膚の老化現象の一つとされています。顔面、頭部、前胸部、背部によく見られますが、全身どこにでも発生します。色は褐色調から黒色で、大きさは数ミリから2~3cmくらいです。一見、シミに見えますが、シミは平坦で、脂漏性角化症は皮膚からわずかに隆起していることが違います。
当院では、液体窒素による冷凍凝固法以外に、炭酸ガスレーザーによる焼灼も行っておりますので、まずはご希望に合わせてご相談下さい。

スキンタッグ

頚部や脇の下には有茎性の小さなイボが多数生じることが多く、これをスキンタッグと言います。
一般的にかゆみや痛みはなく、放っておいても悪性化することはありませんが、皮膚悪性腫瘍との鑑別が必要な場合もありますので気になる場合はお気軽にご相談下さい。
当院では、液体窒素による冷凍凝固法以外に、炭酸ガスレーザーによる焼灼も行っております、それぞれのメリット・デメリットを踏まえ、治療法を選択して頂くことも可能です。

脂肪種

皮膚の下にできる腫瘍としては比較的多いものです。
その名の通り、脂肪からできる腫瘍で、通常は柔らかく軟式ボールを握る感じです。脂肪腫はどこにでもできますが、背部、肩、臀部などが多い傾向があり、ゆっくりですが徐々に拡大し、メロン大になることもあります。また血管の多い型は、血管脂肪腫と呼ばれ、軽い痛みを伴いしばしば多発します。

熱傷(やけど)

熱傷は、高熱による皮膚の障害です。
受傷部位に発赤、腫れ、水ぶくれ、痛みが現れます。 強い痛みが初期の症状ですが、深い熱傷では神経も障害するため痛みがない場合もあり、熱傷の深さによって1度、2度、3度の熱傷に分類されます。


1度熱傷

最も軽いタイプで、表皮のみが障害を受けて、皮膚がヒリヒリと痛み赤くなりますが、水ぶくれにはなりません。通常は1週間程度で治ります。

2度熱傷

表皮の下の真皮に達する熱傷です。強い痛みがあり、熱傷受傷後24時間以内に水疱ができます。浅い2度熱傷は2~3週間程度で治り、跡あとが残りませんが、深い2度熱傷は3週間以上かかり、跡が残ります。

3度熱傷

皮膚は神経も障害されるため、むしろ痛みを感じません。皮膚表面は白くなり、あるいは黒く硬くなることもあります。深い潰瘍となり、跡が残ります。